本ページではプレーヤーの特徴にあわせた4つのカテゴリーのスパイクのコンセプトについてお話いただいた内容を掲載します。
正しいスパイクの選び方(自分の特徴に合ったスパイク選び)
「スパイクは何を選べばよいのか?」
我々は「全てはアスリートのために」というアディダス創始者であるアディ・ダスラー氏の理念 を受け継ぎ商品開発を行っています。選手の年代や、時代に応じて変化するフットボールのトレンドにあわせてアスリートの求めるニーズも変わってきます。そ のニーズを常に把握し、彼らの声に答えていくというのが我々のミッションであると考えています。
我々がアスリートたちに必ず聞いているのは「プレーする上で自分の武器は何ですか?」ということです。試合に出て活躍する又は、チームの勝利に貢献 するためには何らかの武器が必要になってきますし、監督としても各選手の武器をミックスさせてチームを作っていくという形が多いかと思います。
そこで私たちは「選手が考える武器とは何か?」というのを把握することから商品開発をスタートします。
まずは14~18歳の部活でサッカーをプレーする数百人の選手たちから「自分の武器は何か」についてヒアリングをしました。「サイドからクロスボー ルをあげること」「ひたすら動き回ること」「スピードでぶっちぎること」など選手によって回答は様々です。そしてその回答を分析したところ、現代フット ボールでは、プレーヤーのタイプが4つに分類できるということがわかってきました。
- 1.スピード・・・とにかく速さで勝負したい選手
- 2.ボールコントロール・・・スキルやテクニックで勝負していく選手
- 3.トータルバランス・・・走る、ボールを止める、蹴る、その全てを追求し総合力で勝負したい選手
- 4.ハードワーク・・・最近多く見られる、運動量やボール際での強さや、ハードワークが売りな選手
大きくはこの4つに分類でき、それぞれの選手が最大限にパフォーマンスを高められるコンセプトのスパイクを開発しました。そしてこの2013秋冬シーズン、正確には5月より、アディダスは、この4つに基づいた商品を展開していっています。
特に4つ目の「ハードに戦いぬく選手のためのシューズ」というコンセプトは今までありませんでした。まずは、そのニーズにこたえるシューズ「ナイトロチャージ」を紹介します。
「ナイトロチャージ」の開発コンセプト ~運動量やハードワークを身上とするプレーヤーのニーズにこたえること~
このタイプのプレーヤーのニーズは2つです。1つ目は「疲れを感じず、軽快に動き回れること」。2つ目は「激しいプレーを繰り返してもシューズが足を保護してくれること」。これらを重視したシューズを開発しようというところからスタートしました。
ナイトロチャージには、このニーズに答えるための3つの特徴があります。
シューズを見たときに目立つ、この黄色い部分【エナジースリング】と いいますが、ジュニア向けに樹脂素材のバンドを足の前足部に搭載しています。足を踏ん張ったり、同じ動きを繰り返したりするときに、前足部に負担がかかる のですが、その負荷をいかに最小限にとどめるかということを考え、負荷を受けても足がブレずに安定しやすいよう、ホールド性を高めているのがこの機能で す。このシューズの一番の特徴となってきます。
2つめは、【プロテクションメッシュ】です。中足部からかかと側の素材には、フットボールシューズとしては珍しくメッ シュ素材を採用しています。このメッシュ素材は、軽くて、強さがあります。軽快にかつ疲れを感じず動き回るために軽さは必要ですし、激しいプレーを繰り返 すために強さも必要になります。天然皮革や、今の主流である人工皮革よりも更に、強く、耐久性がある素材を採用しています。
3つめは、つま先とアキレス腱周辺に配置している【プロテクションパッド】。足の保護を目的としてスポンジを内蔵して います。選手にヒアリングすると、激しいプレーで衝撃を感じるのは、つま先とアキレス腱という回答が多くかえってきました。プロテクションパッドが激しい クラッシュプレーや相手にタックルを受けた際の衝撃吸収剤としての役割を果たしてくれます。
以上が「ナイトロチャージ」の特徴です。具体的な選手像としては、サイドバックでひたすら上下運動、ボランチとして相手のキーマンをハードマークすると いったプレーヤーになります。「ナイトロ(Nigtro)」とは日本語ではニトロと読んだりしますが、爆薬として使われるニトログリセリンから来ていま す。爆発力があり、毒にも勝るエネルギーを注入する、つまり「チャージ(Charge)」するという名前にもその思いが込められています。ナイトロチャー ジは、日本代表の清武選手や槙野選手、スペイン代表のボランチ、ハビ・マルチネス選手が着用します。
「プレデターリーサルゾーン」 ~ボールコントロールを重視した選手向け~
2012年6月からプレデターリーサルゾーンという新しいコンセプトを採用していますが、今回、更に進化を遂げたバージョンとして、パス、トラップ、シュート あらゆるボールスキルレベルを更に高めることを目的として展開を始めます。
選手の声を聞いた結果、彼らにとってのボールスキルは5つに分けられることがわかってきました。
1.トラップ 2.ドリブル 3.パス 4.クロス
5.シュート
これらのプレーを行う、シューズの部位を5つのゾーンに分け、プレデターラバーと呼ばれるゴム素材を配置することによって選手のスキル発揮をサポー トするスパイクがプレデターリーサルゾーンになります。日本代表ではハーフナー・マイク選手や、スペイン代表のシャビ・エルナンデス選手が着用します。
1.ファーストタッチゾーン
つま先周辺に凹凸の十字ラバーを配置し、更にくぼみをつけることによって、浮いたボールをコントロールするときの吸い付きをよくします。
2.ドリブルゾーン
ドリブルのとき一番使われているのが、アウトサイドになりますが、その部分に十字の凹型ラバーを配置しています。ドリブル時に、ボールを近すぎず遠すぎない位置にコントロールすることを可能にしています。
3.スイートスポットゾーン
インフロントの部分に配置されているラバーです。立体形状のラバーを配置し、ボールの引っかかりをよくし、スピンをかけやすくしています。カーブをかけたフリーキックやクロスボールを蹴りやすくしています。
4.ドライブゾーン
強いシュートや飛距離を要するロングパスを出すときに使われているゾーン(インフロント部分)に 最も分厚く、面積が広いラバーを配置しています。
5.コントロール&パスゾーン
トラップとショートパスを繰り出すのに使われるインサイド周辺に配置しています。ボールのミートのしやすさやトラップの際にクッション感が得られるようスポンジ素材とラバー素材を採用しています。
「アディゼロF50」 ~とにかくスピードを重視したプレースタイルの選手向け~
このシリーズはアディダスが展開しているスパイクの中で最も軽く、この軽さによってぶっちぎりのスピードを発揮してもらうことを念頭に開発しました。
ジュニアモデルにはムダを極力そぎ落としたワンピース構造のエナメル素材をアッパーに採用し、足にブレを与えないようつま先から前足部に刺繍を入れて、スピードが逃げないような工夫もしています。
日本代表の香川選手、アルゼンチン代表のメッシ選手が着用します。
「11pro」 ~トータルバランスを兼ね備えた選手向け~
シューズの構造をバランスよくしています。
「止める」「蹴る」「走る」という要素を万遍なくナチュラルに発揮できるよう左右対称構造で足になじみやすいソフトな人工皮革を採用しています。そして中足部の3本線がしっかりとホールドし、足とシューズを一体化させます。
このシューズは日本代表では、内田選手やドイツ代表のフィリップ・ラーム選手が着用します。
サッカー少年少女が、この4つのタイプの中から何を選んだらよいのか?
まずは自分の特徴 を把握し、その特徴や「武器」を最大限に引き出してくれるスパイクを選ぶのがよいでしょう。サッカーを始めたばかりであれば、自分の特徴がわからない子が 多いでしょうし、スパイク慣れしていないので、ソール(足の裏)の素材は、クッション性の高いラバー製を選んでもらいたいです。憧れもあるので、好きな選手のデザインのみで選びがちですが、「子供たちの足にあっているか?」という観点で選んでほしいと思います。