SOCCER

パラリンピック正式種目「ブラインドサッカーってどんな競技?」

2020.01.23.THU

アカデミーヘッドマスター中川英治コーチと王子校スクールマスター上林知民コーチは、東京パラリンピックに出場するブラインドサッカー日本代表のコーチも務めています。

中川英治コーチ
上林知民コーチ

ブラインドサッカーは東京パラリンピック22競技の1つです。正式名は、5人制サッカー(5-a-side football)といいます。
参照:パラリンピック競技:5人制サッカー|東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

どのような競技なのか? おもしろいところ、見どころはどこか? 本大会に向けて当サイトにて、みなさまにお伝えしていきます。

今回は、中川コーチにどのような競技なのかを聞きました。

ブラインドサッカーとは

ブラインドサッカー日本代表・加藤健人選手

ルールは、フットサルをベースに作られています。ピッチサイズは、たて40m×よこ20mです。時間は、プレイングタイム(プレーが続いている状態)で20分ハーフです。ボールは、転がるとシャカシャカと音が出ます。選手は、アイマスクを着けてプレーします。両チームとも、タイムアウトを前後半1回ずつとることができます。違いは、タッチラインからボールが出ないよう、サイドフェンスがあることです。観客はしゃべってはいけません。

フィールドプレーヤーの4人は、目隠しをした状態でプレーします。目の見えるゴールキーパーと、ピッチ中央のエリアにボールがあるとき、指示を送ることができるセンターガイド、攻撃するゴール付近では、ゴール裏にいるガイドが指示することができます。7人がおたがいに意思疎通しながら進めるスポーツなのです。5人制サッカーですが、自分たちは7人でプレーしている感覚があります。

どんな競技かの解説動画はこちらです。

[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=6mNJUn6PMDc [/youtube]

東京パラリンピックの正式種目

一般社団法人日本障がい者サッカー連盟(JIFF)にブラインドサッカーをふくめ7つの競技団体が加盟しています。

  • アンプティサッカー (上肢または下肢に切断障がい等のある方がプレー)
  • CPサッカー (脳性まひ選手のために考案された7人制サッカー)
  • ソーシャルフットボール (精神障がいを抱えた人のフットサル)
  • 知的障害者サッカー
  • 電動車いすサッカー
  • ろう者(デフ)サッカー

そのなかでも、ブラインドサッカーは、東京パラリンピックの種目となっています。

耳から得られる情報が一番大事

ボールには鈴が入っていて、転がったり、跳ねたりすると音がでます。選手は、この音から立ち位置を決め、スピードや距離感を図ります。

ディフェンダーがボールをとりに行くときは、「Voy(ボイ)」と言うルールになっています。スペイン語で「行く」という意味です。

中でも、こどばが一番大事です。ゴールキーパーや2名のガイドが「こっち」「あっち」と伝えても、見えていない選手にわかってもらえません。

「右」「左」でもわかりません。

「右3メートル」と伝えても、「何が?」ってなります。

ボールが右3mなのか? 壁からなのか、スペースなのか、よりくわしく伝える必要があります。

目をつかえないだけに、究極のコミュニケーションゲームと言えるでしょう。

おどろきの知覚方法

練習中、サイドのフェンスを往復ランニングしているとき、指パッチンをしながら走っている選手がいました。「なんで?」と聞いたところ、「壁からの音のはね返りで距離感をつかんでいる」と答えたんです。

「まるでコウモリみたいだ」と思いました。夜行性のコウモリは、目がほぼ見えていません。自ら超音波を出して、モノからの跳ね返りを知覚して、自分がどこにいるかを知るようです。

彼は、超音波は出さないけれども、音の跳ね返りで壁から何メートルとか、どのくらい近いかがわかるそうです。

おなじく、人が通っても、音の跳ね返りで、「あ、いる」ってわかるらしいです。「このくらいの跳ね返りならまだ行ける」「音の跳ね返りが強いから、もう行けない」と。

(つづく)

お知らせ

2020年3月16日(月)~21日(土)、東京2020パラリンピックまえ最後の国際大会「IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ2020」が品川区立天王洲公園で行われます。

本番前の前哨戦ともいえる本大会には日本代表をはじめ強豪8カ国が出場予定です。

ブラインドサッカーを現地で観戦してみてはいかがでしょうか?

選手たちはもちろん、中川コーチと上林コーチへの応援をよろしくお願いします。