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ジュニアがサッカースパイクを選ぶとき、スポーツショップの店員さんに伝える3つのこと

2015.11.25.WED

 

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2015年10月より、クーバーのコーチがスポーツショップに伺い、アディダスのスパイクX/ACEを試履きした方に、クーバーのエクササイズを行ってもらい、指導をするイベントを実施しています。

▼イベントの詳細はこちら [ページ下段にイベント情報掲載中]
https://coerver.co.jp/adidas/bm2015/

もちろん、イベントに来訪された方がサイズを選ぶ際、コーチがジャストフィットのスパイクを履くとパフォーマンスが高まることを、伝達しています。

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前回の記事では、ジャストフィットのスパイクがパフォーマンスを高めるという話をしていただきました。ジャストフィットの考え方がわかったら、スポーツショップへ行って選ぶだけと思われるかもしれません。しかし、店舗へ行ってみたら多種多様なスパイクが陳列されています。

サッカーショップへ親子で行ったとき「この子に合うスパイクはどれなのか?」 と考えたことありませんか?

前回に引き続き、アディダス ジャパン株式会社で主にスパイクの開発を担当されている山口智久様に、実際、スポーツショップへ行って、ジュニア向けのサッカースパイクを選ぶときに参考になる話を伺いました。

取材・文・写真/クーバー・コーチング・ジャパン

ショップ店員さんに伝える3つのこと

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スパイクは、アッパーという上側の部分と、アウトソールという底の部分からできています。プレー頻度、環境、経験の情報を元にそれぞれに適した素材のスパイクを選んでいただきたいです。しかし実際は、見た目のかっこ良さを第一に求めてしまうことが多いのではないでしょうか。ジュニア選手の気持ちも汲みつつ、手にとったスパイクが、ジュニア選手の状況に合っているかを、店員さんに聞いてもらうことをお願いしたいです。店員さんはスパイクに関して専門的な知識を持っています。まず伝えてほしいのは、3つです。

  1. 頻度・・・週に何回プレーしているか?(週1回、週3、4回…)
  2. 環境・・・どういうグランドでプレーしているか?(土、人工芝、土と人工芝両方)
  3. 経験・・・どのくらいサッカーを続けているか?(幼稚園のときから、全くの初心者…)

ひとつずつ解説していきます。

1.頻度

スパイクの上側の部分をアッパーと言います。週3、4回プレーしているというジュニア選手もいらっしゃるようです。週3,4回のプレーに耐えられるアッパー素材であるかを確認しましょう。スパイクの下側の部分をアウトソールと言います。素材は、樹脂底とゴム底の2種類あります。樹脂底は比較的、磨耗に強く、長持ちします。

2.環境

大多数のジュニア選手がプレーする環境は、土か人工芝かと思います。今の時代、ショップには、アウトソールが土、人工芝、天然芝それぞれに対応したスパイクが販売されています。ジュニア選手のプレー環境に適したものを選んでもらうのが望ましいです。またアディダスの場合は、土と人工芝、兼用で履けるスパイクも準備していますので確認してみてください。

人工芝用スパイク

地面から足抜けのよいアウトソールを選びましょう。人工芝でプレーすると、ステップを踏んだ時に足が人工芝面と絡みつくような感覚があると言われています。尖りすぎたスタッド(アウトソールの突起部)のスパイクではなく、地面とスタッドが接地する面積が多く、均一なスパイクが望ましいです。地面に対し、スタッドが適度に刺さり、抜ける、そういったスパイクは、どこの方向にも、力をかけることができますし、動けるように設計されています。

土用スパイク

反対に、乾いて固まっている土の場合は、スタッドが刺さることはなく、地面の上に乗っていて、こすられるだけです。すべらないためには、地面との摩擦を起こしてすべらないようにします。摩擦が起こるくらいの面積が大きく確保されたスタッドが適しています。

土と人工芝の兼用スパイク

土と人工芝兼用のスパイクは両方の要素を兼ね備えています。乾いた硬い土では、摩擦を起こしやすく、柔らかい人工芝では、地面に刺さりやすいが、刺さりすぎで足が地面から抜けずらいということがないように、正三角形やダイヤモンド型のスタッドにしています。ジュニア用のトライアングルスタッドと呼んでいます。その知識はショップの店員さんに聞いてもらえばわかると思います。

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3.経験

ある程度サッカーを経験して、ボールを蹴るという技術がスムーズに行えるようになって、段々と強いボールが蹴れるようになってきたとき、スパイクを履けば、軸足をしっかりと踏み込めるようになり、更にパフォーマンスがあがります。そのようなときは、スパイクを履くことにより更なる技術の向上につながるのはずです。

スパイクの試履き会などの啓蒙活動でジュニアサッカーのプレー現場を訪れたとき、「スパイクをいつから履き始めるのがよいか?」と聞かれたり、「スパイクを履くと怪我をする」という先入観を持たれたりしている方もいらっしゃいます。子供はスパイクを履きたがりますが、一方で、スパイクを履かせることに慎重になっている状況も見受けられます。

スパイクを履き始める年齢

スパイクを履き始める時期ですが、体の成長の度合いや、プレーレベルにもよりますので、一概に小学校高学年になったら履き始めてOKとは言えません。ある程度、サッカーを経験して、ボールを蹴るという技術がスムーズに行えるようになって、段々と強いボールが蹴れるようになってきたとき、スパイクを履けば、軸足をしっかりと踏み込めるようになり、更にパフォーマンスがあがり、技術の向上につながるはずです。確かにスパイクを履いてプレーすると怪我をするという説もありますが、一方で、せっかく技術が向上する時期にスパイクを履かずにプレーしないのは、もったいないとも感じます。

サッカーは前後左右あらゆる方向に動かなければいけませんし、相手の動きに合わせて自らも動かなければいけないという競技特性があります。想定の範囲外の動きを、強い力で行わなければなりません。スパイクのスタッドでしっかりと地面を捕らえられたほうがパフォーマンスはあがります。ジュニア選手たちも安心して履けるスパイクの開発をしていきたいです。

スタッドの素材

アウトソールは樹脂底とゴム底がある、という話を先にしましたが、アディダスでは、昨今、樹脂底のアウトソールに集約していっています。これまで、樹脂底は磨耗に強く長持ちするのでプレー頻度の高い選手に、クッション性があり、足への衝撃緩和が見込めるゴム底は、サッカーを始めたばかりの選手に提案していました。 とはいえ、実際、保護者の声を聞いていると、長持ちさせたい、買い換えたくないというニーズがあります。その声を受けて、サッカーを始めたばかりの選手にも、通常の樹脂よりも柔らかい樹脂素材のスパイクを新たにご提案しています。またスタッドが衝撃で沈む構造を採用しています。ジュニア選手のスパイクならではの機能です。これにより着地時の衝撃が吸収され、足底への負担が軽減されます。国際サッカー連盟公認のジュニアヒールクッションスタッドと言っています。

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スパイクを履くことがモチベーションアップにつながる

何より、デザイン的にかっこいい! プロ選手と同じ! スパイクをはいてプレーするというのは、この上ないモチベーションになると思います。お気に入りのスパイクを履くことで、トレーニングをがんばるようになったり、リフティングなど自主練習をいつもより長く続けられるようになったりするのではないでしょうか? 実は、自分も少年時代に同様の経験があります。その気持ちを持った子供たちに対し、「スパイクを履くな」と制限するよりも、スパイクを履いても足に害がなく、パフォーマンスが更にあがるという発想も大切です。我々も、ジュニア選手たちも安心して履けるスパイクの開発をし続けていくことで、ジュニア選手たちをサポートしていこうと考えています。

まとめ

いかがだったでしょうか? スポーツショップに陳列されている、たくさんのスパイクから、何を、どのように選べばよいのか、今後、選択する際の参考になれば幸いです。スパイクを履いたジュニア選手たちのパフォーマンスが高まり、サッカーを楽しくプレーしてもらえることを願っております。