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松本光平選手「目標はクラブW杯再出場」

2020.12.10.THU

失明の危機を乗り越え、自分の夢を追う元スクール生を紹介します。

松本光平さん

FIFAクラブW杯2019に出場した唯一の日本人選手
大会まえに掲載したインタビュー記事

契約書にサイン
オークランドシティFCのユニフォーム姿

松本光平選手は2021年2月に開催されるクラブW杯に出場するオークランドシティーFC(ニュージーランド)と契約しました。

ただし、2度目の出場となる今回は、状況がまったくちがいます。
コロナ禍の5月、自主トレーニング中、不慮の事故に遭い、失明の危機に陥ってしまったのです。
日本で受けた手術のおかげで最悪の事態は免れましたが、「右目は視力が回復せず、左目がかすかに見える程度」とのこと。

ご参考:松本選手の見え方

自主トレーニングのサポートしようと、小学生時代のコーチだった吉川啓太コーチがサッカーとライフキネティックを用いた指導を行っています。

 
 
 
 
 
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夢に向かって、前向きな松本選手と吉川コーチに話を聞きました。

目を慣らすためにトレーニングの数をこなす

トレーニングをいま、週10回以上をやっています。午前は、ユースチームや大学サッカー部と、午後はジムで筋トレ、夜は社会人チームやクラブチームの練習に参加させてもらっています。ライフキネティックを中心に吉川コーチから週1、2回教わっています。
この目でやっていくには、たくさんボールに触れて目を慣れさせるしかありません。試合や練習の数を沢山こなそうと考えています。
彼の視野は半分以上ない状態です。それをどう補っていくかが課題です。3つのテーマを持って、ライフキネティックをやっています。

【ライフキネティック】動きのスムーズさを作る運動

ひとつ目は、脳からからだに送る指示をスムーズにして、ムダな動きをなくすメニューをやっています。光平は視野が狭くなっている分、首を振る回数や時間を確保する必要があるので、これによって動きや時間に余裕を作れるようにしています。

【ライフキネティック】視野の強化、ピント合わせ、素早い判断

ふたつ目は、両目の時より焦点の合わせ方が違うので、使える方の目のピントを見たいもの(ボールや相手、仲間など)により正確に素早く合わせられることを目的としたトレーニングです。この能力も徐々に上がってきています。浮いたボールが来たときの処理が線ではなく点で合わせられたり、落下地点に入るのがうまくなりましたね。

【ライフキネティック】視野の強化

三つ目は、パッと一瞬見ただけで、状況を短時間でより正確に把握するトレーニングです。視覚野に刺激を入れて映像化する事で視野の強化を行なっています。この能力もあがってきています。
そうなんです。視力や視野は下がりましたけど、その分、別のパフォーマンスが上がっているので、プラスマイナスゼロです。
いや、むしろ、ちょっとプラスぐらいに思っています!
普段の生活も「トレーニング」と捉えている節があります。昼ごはんを買いにいくとき「自分も行きます」って言うんですよ。「スーパーの中を動いてみたい」ってことがありました。
食品売り場、とくに野菜コーナーはひっかけ問題ばかりです。緑色の野菜(小松菜やほうれん草)は全部いっしょに見えてしまいます。これも目の「リハビリ」になるんです。
食事作りも「トレーニング」です。ピーラーを使ってにんじんの皮むきとか。皮がちゃんとむけているかわからず、何周もずっと皮をむいていました。

お肉を焼くのも苦労しました。焼けているか見てもわからないので、お腹を壊さないようにしっかりと火を通して口に入れたら、だいたいいつも丸焦げでした。
彼の場合は、目を意識的に使わないといけない、いや、意識せざるをえません。生活のぜんぶが「トレーニング」になっているんですね。

どうやって運動ができるからだに戻して行ったのか? 手術から復帰まで

6月に手術をして、うつ伏せでいなければならない期間が2週間以上ありました。それが終わったら1ヶ月くらいはベットのうえで絶対安静でした。

 

 
 
 
 
 
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それからは歩く練習から始めたんです。
さいしょは、うまく歩けず、右に傾いて転んでしまったり、乗り物酔いみたいな感じで、気分が悪くなったりの繰り返し。
1ヶ月以上ひたすら歩きつづけました。
走れるようになったのが、8月くらい。
歩くのを完璧にしていたおかげで、(歩き始めた時と比べて)真っ直ぐ走るだけなら割とスムーズに走りだすことができました。
ジョギングから始めて、後ろ向きやサイドステップ、ターンができるようになってからボールを蹴りはじめました。
インサイドキックのパス交換からスタートして、数日で簡単なパス交換ができるようになりました。
ただ浮き球の処理が全然できませんでした。曇りの日、白いボールだと、背景色となじんで突然ボールが消えてしまうような感覚になるんです。自分の目の前に来ないと「ボールだ」とわりませんでした。
 
 
 
 
 
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このときから個人参加フットサルレッスンのビギナークラスに参加しはじめたんです。
最初はホントに難しくて、人もボールもほとんど認識できないし、プレー中に他の人達によくにぶつかっていました。
ただ、数をこなしていくうちにプレーの質も向上していきました。
いまは、相手や仲間は、その人の歩き方や走り方、雰囲気や体型でなんとなくわかるレベルです。
 
 
 
 
 
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目標ーー「クラブW杯に再出場すること」

松本:オークランドシティFCに合流後、「しっかりプレーできるぞ」と見せつけてやりたいです。
この目の状態の自分と契約をしてくれたチームには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。しっかりとチームに貢献できるように頑張ります。
なにより、応援してくれている人達のためにも、試合に出場して自分がプレーしている姿を見せたいと思っています。

現スクール生へのアドバイス

スクール中、一生懸命、練習しましょう。
走ったり、からだを鍛えたりというのは、自分ひとりでもできます。けど、テクニックは教えてくれる人がいないとできるようにならないと考えています。
私の場合、テクニックを教えてくれたのがクーバーのスクールでした。それが良かったです。
彼は教え子ですが尊敬できるところがあります。それは努力をし続けていることです。筋トレはもちろん、食事にも365日ずっと何年も気を使っています。一度、決めたらやり通すメンタリティはスゴイ。しかもすべてを前向きに、主体的に取り組んでいます。この部分は小学生時代からかわっていないなあと感じます。
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