アカデミーヘッドマスター中川英治コーチと王子校スクールマスター上林知民コーチは、東京パラリンピックに出場するブラインドサッカー日本代表のコーチも務めています。
SOCCER
パラリンピック正式種目・5人制サッカーのコーチが語る「選手の強みを生かしたチーム作り」
2020.02.06.THU
競技のおもしろさや見どころを当サイトにて、お伝えしていきます。
今回は、選手の強みを生かすチーム作りについて、中川コーチが話をしてくれました。
強みを生かす
マンツーマンでレッスンをしている加藤健人選手は、高校生のとき、視力を失っていきました。サッカーをはじめた小学生のころは目が見えていて、ボールを「蹴る」「走る」というイメージを持っています。
キックは、蹴る足を後ろに引き、反動をつけてから前に振ってボールをとらえるとか。走るには左右の手と足を連動させて動かすとかがわかるんです。
一方、先天的に見えなくなった選手は、ヒトが走る姿や、ボールを蹴る姿を見たことがありません。
イメージがないゆえに、足を後ろに引かずにボールを蹴ったりします。けど、そこが良さなのです。
目の見えるゴールキーパーは、軸足を踏み込んで、足を後ろに引いて蹴る選手のシュートを受けるのになれています。後ろに振らずにシュートを打たれると、かえってタイミングをはずされて、守りづらいのです。
その良さを削ぎ取らずに育てていかなければなりません。
強みを生かすポジション配置
各選手とも、身長や体重が違います。おなじくプレーの特徴も違います。それに合わせた技術・戦術・ポジションの配置を考えていきます。
もともと見えていた選手は、キックのイメージがあるから、軸足を踏み込んで、足を後ろに振って勢いをつけ、力強いキックをすることができます。ミドルレンジからのシュートが得意なのです。その選手の強みを生かせるポジションである2列目に配置しています。
反対に、足を後ろに振らずにける選手は、キーパーのタイミングをずらすことができますから、なるべくゴール前で勝負させたほうがいいわけです。最前線のポジションに配します。
まとめ
先天的に目が見えなくなった選手はゴール近くで、思いつかないようなプレーができます。後天的に目が見えなくなった選手は、見えていたという強みをいかせばいいのです。
会社や組織では、「適材適所」という言葉がありますよね。人の能力や特性にあわせて、ふさわしい役割や役職につけることです。チームゲームでも、メンバーの強みを生かせるよう配置を考えるという点で、結局は、いっしょだと考えています。
(つづく)
お知らせ
2020年3月16日(月)~21日(土)、東京2020パラリンピックまえ最後の国際大会「IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ2020」が品川区立天王洲公園で行われます。
本番前の前哨戦ともいえる本大会には日本代表をはじめ強豪8カ国が出場予定です。
ブラインドサッカーを現地で観戦してみてはいかがでしょうか?
選手たちはもちろん、中川コーチと上林コーチへの応援をよろしくお願いします。
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