キャンプに関する疑問や質問に、吉川啓太コーチがお答えします。今回はその第一弾です。
キャンプQ&A「友だちできるの?」吉川啓太コーチがお答えします
Q:ひとりでキャンプに行かせます。友だちはできるのでしょうか? ひとりでポツンとしてしまうことないですか?
友だちはできます。心配せず、ご参加ください。コーチは、キャンプ初日から、参加者同士が仲良くなれるような工夫をしています。
初日は、以下のスケジュールが組まれています。
午後 | 集合 |
受付・グループ発表 | |
開会式 | |
トレーニング | |
夜 | 夕食 |
風呂 | |
ガイダンス(期間中の注意事項・自己紹介タイム) | |
消灯 |
アイスブレーク・ゲーム
初対面の人同士が、あつまると、よそよそしい雰囲気になってしまうものです。開会式の後、すぐにトレーニングをしますが、最初は、あえてサッカーをしません。何分間かを、アイスブレーク・ゲームにあてます。コミュニケーションを活発にしたり、練習や環境になれさせるのが目的です。
たとえば、その場にいるみんなでタイミングを合わせて「パン」と1回手をたたく、それができたら「パン、パン」と2回、つぎは「パン、パン、パン」と3回にふやしていきます。単純なことですが、みんなで同じことすると共感が生まれたり、仲間意識が芽生えたりするのです。自然とコミュニケーションをとれるようになるきっかけになります。
ボールを介して会話を生みだす
場が和んできたら、本格的にサッカーのトレーニングを行います。やることは、パス練習。ボールを介して会話をすることになります。「ボールを仲間に渡し、もらう」ために必要なのは、声を出してパスを要求することです。「相手の名前を呼んで、パスを呼び込もう」と、指示を出します。コーチが介入しなくても、子ども同士で声をかけあえるようにするのです。
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それでも、まだ仲間同士の空気が重たいなと感じたら、名前ではなくて「出身地を言いながらパスをしよう」と、相手に、なにかを伝えなければいけない、条件付けをしたりします。
最後にやるミニゲームのチーム分けをしたら、「仲間の名前をおぼえて」とか、「ゴールキーパーをやる順番を、みんなで決めて」とか、話すきっかけをつくっています。この時点で、半数から八割くらいが、だれかと仲良くなっているのが理想です。
コーチのサポート
それでも、まだ友だちができていなそうな子がいれば、逆に目につくようになってきます。ここからはコーチの出番です。食事のときに一人で座っていたら、コーチがとなりに座り、その向かい側や、その隣にいる子との橋渡し役をします。「この子は、こんなことに興味があるみたいだよ」とか「ここからきたんだよ」と話題を振るのです。
お風呂にはいったり、食事をしたり仲間と行動をともにすることで、距離がちかくなっていきます。ガイダンスでは、ゲーム形式で自己紹介をします。この時点で、ほぼ仲良くなっています。
ガイダンスの様子
キャンプでは、初日が一番大事です。お互い気軽に話ができる状態を作っておくと、翌日、翌々日とサッカーの練習の学習効果が、まったく変わってきます。いじめやケンカ、ホームシックの予防にもなります。
ときにはケンカが起こることも……
1日経てば、冗談をいいあったり、ふざけあったりするくらい仲良くなります。気心を知りあえると、言い過ぎてしまい、ケンカに発展してしまうこともあります。見方を変えれば、悪いことではなく、距離感が近くなりすぎるから、起こることなのです。
子どもは、自分の感情を、うまくコントロールできない部分もあります。手が出てしまうとコーチたちが割り込んで、止める必要がありますが、それでおしまいにはしません。二人の言い分を聞いて、話し合いを持ち、お互いに納得させたうえで、「じゃあ、こんなコミュニケーションの仕方をしていこう。サッカーでも生かしていこう」と、サッカーに絡めて、話をまとめていきます。
サッカーはチームスポーツです。「自分の考えをどのように通すのか?」「仲間の意見をどう受け入れるのか?」。仲間と折り合いをつけながら、勝利を目指していく必要があります。キャンプは、その練習の場でもあります。
けど、実際は、自分が受け持ったグループで、過去10年くらい、大きなトラブルはないです。キャンプは、プログラムが盛りだくさんだからケンカする暇がないっていうのもあります。トレーニングの合間に食事や入浴をしなければいけないし、さらにその合間をぬって、サッカーノートも書かなければいけないし、睡眠もとらなきゃいけないですし。
(つづく)
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